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漢語語法難點釋疑

叁、「過」の用法

- もくじ -
一、「過」の意味
二、どんな時に「過」を用いるか(Ⅰ)
三、どんな時に「過」を用いるか(Ⅱ)
(一)「過」を事柄の原因、前提を説明する文に用いる
(二)「過」を人、事物またはそれらの関係を説明する文に用いる
四、「過」と「了」の用法の比較
五、「過」と時間状語
六、「過」を接続できる語

一、「過」の意味

「過」はかつてある種の経験をした、かつてある動作を行った、またはある状態が存在したということを表わす。「過」を用いるのは、その動作がすでに行われなくなったか、その状態がすでに存在しなくなった時である。例えば、

(1)我去北京。
(現在、私は東京にいる)

(2)他爸爸当工人。
(現在、彼のお父さんは「工人」ではない)

(3)小明看《红楼梦》。
(「小明」は今、『紅楼夢』は読んでいない)

(4)王云的妈妈我看见
(「私」は、今「王雲のお母さん」を見ているわけではない)

(5)小刚以前胖
(「小剛」は今は太っていない)

(6)我的眼睛近视,后来治好了。

「了」も、かつてある動作を行ったか、ある状態が存在したことを表わせるが、「了」を用いた時は、その動作または状態がすでに行われなくなった、存在しなくなったことが考えられると同時に、まだ行われている、まだ存在しているとも考えられる。

(1)我昨天去书店买两本书。
(「私」は今は本を買っていない)

(2)过去小刚胖一阵子,后来又瘦了。

(3)这本书我看一天了,今天晚上就能看完。
(「私」は今読んでいる最中だ)

(4)这朵花红好几天了,现在颜色还是这么好看。
(「花」はまだ赤い)

(1)と(2)の「了」は「過」に置き換えることができる。

(1’)我昨天去书店买两本书。
(2’)过去小刚胖一阵子,后来又瘦了。

(3)と(4)の「了」は「過」に置き換えることはできない。

(3)* 这本书我看一天了,今天晚上就能看完。
(4)* 这朵花红好几天了,现在颜色还是这么好看。

二、どんな時に「過」を用いるか(Ⅰ)

どんな時、他者に自分または別の誰かのある経験(かつてある動作をおこなった、あるいはある状態が存在した)を知らせる必要があるのか。言い換えれば、どのような場合に「過」を用いるのか。例えば、どんな時に他者に「你去过上海吗?」と問うかは、「過」を用いた文を具体的な言語環境の中に置いて考察する必要がある。以下の会話を見てみる。

(1)王:老张,你去上海吗?
(1)张:去,去年还去一次。
(1)王:我后天去上海,不知道那儿现在气候怎么样?我带什么衣服去合适?
(1)张:现在五月中,那儿已经热了,带单衣就可以了。

この会話から、「老王」が「老張」にたずねたいのは「上海に行ったことがあるか」ということではなく、「現在、上海に行くのにどんな服を着ればよいか」ということであることが分かる。しかし、「老張」がこの問いに答える条件=「上海に行ったことがあるか、上海の気候を知っているか」を持っているか分からないため、「去上海吗」とたずねたのである。

別の面からいうと、「老張」が「行ったことがある」と答えた後、「老王」が黙ってしまえば、「老張」はおかしいなと感じ、「上海に行ったことがあるか聞いてどうするんだい」とたずねるだろう。なぜなら、「老張」は「老王」の問いはまだ終わっていないと思うからである。

上のような分析から、「過」を用いた短語(フレーズ)、分句(節)または文は、ニュアンスの上でみずから満足できるものではなく、話し手が伝えようとする最終的な情報を持っていないことが分かる。「過」を含む文と同時に、ニュアンスの上で直接関係のある、最終的な情報を持った文(フレーズ、節)が常に存在する。それは時に表に現れないが、聞き手はそのニュアンスを感じ取ることができる。例えば、

(2)病人:大夫,我肚子疼。
(2)大夫:大便正常吗?
(2)病人:有点腹泻。
(2)大夫:你吃什么不干净的东西吗?
(2)病人:今天早晨我喝了一杯剩牛奶。
(2)大夫:牛奶没放在冰箱里,是不是?
(2)病人:对。
(2)大夫:牛奶变质了。你知道肚子为什么疼了吧?不要紧,吃点药就好了。

上の会話で、医者が「你吃什么不干净的东西吗?」とたずねたのは、患者のおなかが痛い原因を探るためである。

(3)(在书店里)
(3)甲:这本书好吗?
(3)乙:我没看,不知道,买一本看看吧。

乙が「我没看」と言ったのは、甲に対して甲が満足できる回答ができないことを説明するためである。

(4)小明:小丽,告诉你,坐飞机特别有意思。
(4)小丽:是吗?怎么有意思?
(4)小明:嗯・・・・在飞机上往下看,地球象个小皮球。
(4)妈妈:小明,别瞎吹了,你坐飞机吗?小丽别信他的。

お母さんの話は、「あなたは飛行機に乗ったことがないから、飛行機に乗ったときのことが分かるわけないでしょ。さっきのは全部ホラでしょ」という意味である。小明、小麗ともそのニュアンスを感じ取ることができる。


三、どんな時に「過」を用いるか(Ⅱ)

(一)「過」を事柄の原因、前提を説明する文に用いる

例えば、

(1)他吃不识字的苦,所以特别爱学习。
(2)你是知识分子,喝墨水,起出来的名字一定好听。
(3)由于他演戏,动作象猴子,加上他又姓侯,所以人家都叫他“猴子”。
(4)你既然看这个电影,那么我就不给你买票了。

(1)は「彼は字が読めないためにさまざまな苦労をした。そのため(今は)特に勉強が好きだ」。(2)は「あなたは学問があるから、あなたが子供に付ける名前は絶対に学問のない人が付ける名前よりいいはずだ」。(3)の「過」を含む分句(節)は「ほかの人が彼を“猴子(サル)”と呼ぶ理由」を説明している。(4)の「過」を含む文は「私があなたに切符を買ってあげない理由」を説明している。


(二)「過」を人、事物またはそれらの関係を説明する文に用いる

例えば、

(1)他当兵,打仗,受磨练,十分勇敢坚强。
(2)小张和小李从来没吵架。
(3)多少年没这么热了,今年的气候特别反常。
(4)这所大学出好几任总统。

この種の文で「過」を含む部分(短語、分句など)が表わすのは人または事物の具体的な経歴であり、それと関連する部分(時にはない)は抽象的な性質、関係を表わしている。(1)は「当兵」「打仗」「受磨练」という具体的経歴を通して、「彼」の性格(=非常に勇敢で強靭)を説明している。(2)は「小张和小李从来没吵架」という具体的な事実によって、2人の関係が良いことを説明している。(3)は「多少年没这么热」で、「今年の気候は異常だ」ということを説明している。(4)は「这所大学出好几任总统」という具体的事実で、この大学は普通とは異なることを説明しているのである。


四、「過」と「了」の用法の比較

「了」は動作、状態の実現を表わし、「過」とは用法の上でやや異なる。「了」は原因、前提を説明する文中に用いることができる。例えば、

(1)甲:咱们的新老师姓什么?
(1)乙:刚才我问校长,他姓赵。

(2)甲:你饿了吗?吃点东西吗?
(2)乙:我刚才吃两片面包,还不饿。

以上の2つの答えの中の「了」は、「過」に置き換えることができる。

(1)乙:刚才我问校长,他姓赵。
(2)乙:我刚才吃两片面包,还不饿。

ただ、「了」はさらに動作、状態の発生を客観的に叙述する文の中に用いることができる。この種の文で伝える最終的情報は、別のニュアンスに関わる文を必要としない。例えば、

(3)这一天天气很好,刚八点,孩子们就涌进公园。

(4)“同志,我买《新华字典》。”
(4)售货员立刻把字典递给他。

(5)昨天我去百货大楼,先在二楼买一件衣服、一双鞋,后来去三楼买一条床单、一对枕头,最后在一楼买些化妆品。

(6)那个地方很美:山上长满树,树上开满花。山下修一个停车场,停车场上停满汽车。

これら文中の「了」は「過」に置き換えることはできない。

「過」は常に過去に発生した動作、状態によって、現在の事情、人物を説明し解釈する。「了」はある特定の時間に発生した事柄、動作を純粋に叙述し、別のある時間の人物や事柄には立ち入らない。このため、ある人がある時間にある動作を行ったことを客観的に叙述する場合、あるいはある人がある場所でどのような状態になったかを客観的に描写する場合は、「了」を用いるべきである。


五、「過」と時間状語

「過」が用いられる時、前にある状語(連用修飾語)には、「以前、从前、过去」など、特定の時間を指さないものが多い。時間状語が出てこないこともしばしばある。発話以前のある時間を表わしているのである。例えば、

(1)从前他吃这种鱼。

(2)甲:你离开家以后,再也没回去吗?
(2)乙:不,以前回去,这几年因为忙,没回去。

(3)甲:这本书刘红看吗?她要是没有看就借给她看吧。
(3)乙:她可能没看,我给她送去。

(4)甲:你学什么外语?
(4)乙:英语、法语。

時に、「過」の前の状語はある特定の時間を表わす。

(5)甲:你昨天找我吗?
(5)乙:昨天下午你,你不在。
(5)甲:有事吗?
(5)乙:通知你明天开会。

「過」の前の状語が特定の時間を表わす時の多くは、証明または反論に用いられている。例えば、

(6)甲:我叫你经常看看他,你为什么不去?
(6)乙:我常去,今天早晨还去

(7)甲:中国菜很好吃,你吃吗?
(7)乙:吃过,上个月我还在中国吃

(8)甲:小张是不是病了,怎么好几天没见他了?
(8)乙:没病,刚才我还见他来取信。

「了」を用いる文中に最もよく用いられる状語は、特定の時点を表わすものである。

(1)今天早晨我们班来一位新同学。
(2)昨天下午两点,小张送来一份报告。
(3)去年老王生两次病。
(4)十月二十八号晚七点三十分,那个地区发生一次大地震。

「了」を含む文には、不特定の時点を表わす状語を用いてもよい。以下の3つの文型がよく用いられる。

A.前後して発生したいくつかの動作を表わす

(1)他每天吃睡,睡吃,什么正经事都不干。
(2)你什么时候写完作业,什么时候叫你出去玩。

B.動詞の後に数量詞がある

(3)那个地方我一共去两次

(4)甲:你们已经学多少汉字了?
(4)乙:一千五。

C.文末に「了」があるか、または後続文がある

(5)甲:你告诉老师什么时候回国了吗?
(5)乙:已经给他写

(6)这件事我已经通知小李,你去通知小赵吧

(7)你们吃再走吧

六、「過」を接続できる語

「過」を付けることのできる語はとても幅広い。動詞、形容詞、動詞短語(フレーズ)いずれも可能である。例えば、

1.这个孩子姓王,后来改姓刘了。
2.这个地方从来没干净
3.我到南京去找他,他离开那儿了。
4.他欺骗、侮辱这个孩子。

どのような語には「過」を付けることができないのか。

ある語が表わす動作または状態が、当事者には変更できないもの。このような語には「過」を接続することはできない。これには2種類ある。

A.ある動作または状態が、当事者にとって必然的なことであり、さらに当事者が存在する期間内に一度だけしか発生しない場合

このような動作を表わす語には「過」を付けることができない。例えば、人は一度しか出生できない。よって「这个孩子出生」とは言えない。「开幕」「闭幕」は一度の会議に対し、「毕业」は一人のある段階の学習に対し、いずれも一度だけしかあり得ないので、これらにも「過」は使えない。「死」は一人の人にとって一度だけのものであるが、ではどうして「他死三次」と言えるのか。これは、ここでいう「死」が医学上の本当の死を指すわけではないからである。さらに「他死三个孩子」という文では、「死んだ」のは子供で、「彼」ではないためである。子供は複数いる場合もあり、「死」も複数回あり得る。すなわち、当事者は一人ではないのである。

B.知るという意味を持つ動詞

「认识」「知道」「懂」「明白」などである。

否定文では、A.B.とも「過」を結合できる。


©2006 北京紅楼通信
出版:華語教学出版社 / 原著:鄭懿徳、馬盛静恒、劉月華、楊甲栄 / 翻訳:北京紅楼通信