現代漢語では、「在」は動詞になりうる。例えば、
介詞にもなる。例えば、
副詞ともなる。例えば、
本節では動詞を修飾する副詞の「在」を述べる。
「在」の本義は「居、存」で、存在の意味である。存在とは、ある過程の進行、永続である。漢語の動詞自体は「時」「態」「体」を表わさないが、時間副詞の「在」を動詞の前に置くことで、動作、行為が進行中であること、または状態が持続していることを表わす。例えば、
「在」は動作が持続的に進行し、まだ完結していない状況を強調して表現する。語法の意味の上では、英語の「-ing」に比較的近い。動作または行為がいつ始まり、いつ終わるのかには関係なく、始まりも終わりもない動作または行為の修飾にも用いることができる。
「在」は動作の反復進行または長期持続を表わすことができ、状況の繰り返し、または再現、頻度、時間、持続および周期の意味を表わす副詞の修飾を受ける。この種の副詞には「又、還、也、常常、経常、時常、已経、総、時時、都、全、一直」などがある。
「在」の使用条件、すなわちどんな動詞の時に「在」を加えることができ、どんな時にできないのかは、動詞自体の性質、意味と動詞短語(フレーズ)の構成状況から考察することができる。
1.行為・動作を表わす動詞(この種の動詞は動詞の多数を占める)。例えば「跑、吃、洗、说、看、学习、研究、表演」などで、単独に用いられるか、制限付きで動詞短語を構成するかにかかわらず、いずれも「在」の修飾を受けることができ、動作または行為が進行中であることを表わす。
2.状態を表わす動詞は、通常「在」の修飾を受けない。
(1)「饿、病、瞎、皱、瘸、僵、醉、麻、聋、哑、疯、乏、塞、通、醒」などの状態動詞は動作を表わさないため、単独で用いられる時は「在」の修飾を受けない。「在醉」「在麻」「在瘸」と言うことはできない。
(2)「躺、坐、站、跪、蹲、靠、趴、倚」などは身体の姿勢を表わす動詞で、相対的に静止した状態を表わすため、単独で用いられる時は「在」の修飾を受けない。「在坐」「在站」と言うことはできない。「着」が加えて状態の持続を表わす時だけは、「在」を加えて「在躺着」「在坐着」「在跪着」「在蹲着」と言うことができる。
(3)「爱、恨、喜欢、佩服、相信」などの心理状態を表わす一部の動詞はどんな動作も表わさないため、単独で用いる時は「在」の修飾を受けないが、賓語(目的語)を持った時には「在」で修飾することができる。例えば、「我知道他在恨我」「三年过去了,他还在爱她」。
3.「关、开、插、雇、写、贴、种、埋、拖」などの行為・動作を表わす動詞に「着」を付けて行為・動作によって起こった結果(または効果)の状態を表わす時は、「在」の修飾を受けない。以下を比較してみる。
| 動作を表わす | 状態を表わす |
|---|---|
| 他关门。 | 门关着。 |
| 他在关门。 | * 门在关着。 |
| 他写字。 | 黑板上写着字。 |
| 他在写字。 | * 黑板上在写着字。 |
| 他贴邮票。 | 信封上贴着邮票。 |
| 他在贴邮票。 | * 信封上在贴着邮票。 |
| 他插花。 | 花瓶里插着花。 |
| 他在插花。 | * 花瓶里在插着花。 |
4.特殊な動詞「是」「有」「象」「在」および「姓、成为、具有、属于、隶属、等于、善于、包含、包括、该、欠、显、差、多、含有、具备、牵涉、适合、符合、缺乏、类似、充满、区别、重视、轻视、值得、蕴藏」など、どんな動作も表わさない動詞は「在」の修飾を受けない。例えば以下のようには言えない。
5.「觉得、知道、发现、认识、感觉、听见、闻见、看见、遇到、遇见」などの非自主動詞(または感知動詞とも呼ぶ)は「在」の修飾を受けない。
6.「死、停、到、懂、去、来、完、剩、结束、开始、撤销、放弃、遗漏、到达、停止、破裂、拉到、出发、否决、通过、决定、取缔、丢失、遗失、准许、禁止」など、進行の過程または持続の過程がない動詞は「在」の修飾を受けない。
7.「能、会、敢、得(děi)、肯、应、要、应该、应当、必须」などの助動詞、「愿意、需要、希望、赞成、拥护」などの願望を表わす動詞は「在」の修飾を受けない。
8.動詞が「了」「過」を後ろに持つ場合は「在」の修飾を受けない。なぜなら「了」は動作が完了した状態を表わし、「過」は動作の完了またはかつて発生した、かつて経験したことのある事柄を表わすため、動作が進行中であることを表わす「在」と併用することはできない。例えば、
ここで述べる各形式の動詞短語(フレーズ)中の動詞の使用条件は、(一)で述べた条件による制限を受ける。
1.「在」と並列式の動詞または動詞短語
「在」は並列式の動詞または動詞短語を修飾できる。例えば、
A.「在」は偏正式(修飾と被修飾)の動詞短語を修飾できる。例えば、
B.介名短語(介詞と名詞を持つフレーズ)は動詞短語を修飾して、偏正式の動詞短語を構成できる。介名短語を修飾語としている偏正式動詞短語の一部は、「在」の修飾を受けることができる。例えば、
上述の例文では、介詞「向、朝、沿着、对、冲、跟、为、给、趁」で構成する介名短語が動詞または動詞短語を修飾し、偏正式動詞短語を構成し、「在」の修飾を受けている。
C.介詞「在、自、当、对于、比、由于、连」などで構成する介名短語が修飾語となる偏正式動詞短語は「在」の修飾を受けない。例えば、
D.「从」で構成する介名短語が修飾語となる偏正式動詞短語も「在」で修飾することはできない。例えば、
この時の「从」は場所を表わす語と組み合わさり、場所、来源を指している。
ただし「在」は、「从・・・向・・・」で構成される介名短語が修飾語となる偏正式動詞短語は修飾できる。例えば、
この時の「从」は発展、変化を指している。
一般的に、原因、場所や時間の起点、過去の時間の起点、事の発生の時間や場所、関係する事物、人や事物、行為の間の対応関係などを単純に表わす類の介詞で構成される介名短語は、「在」の修飾を受けない。動作者を取り込む、ある種の基準に従うことを表わす、利用条件または利用機会を表わす、動作の対象または範囲を取り込むなど、動作の意味を保っている類の介詞で構成される介名短語は、「在」の修飾を受けることができる。どのような介名短語が「在」の修飾を受けられるのかは、介名短語が修飾する動詞の状況とも関係がある。「在」の修飾を受けない動詞短語は、介名短語の修飾を受けた後も同様に「在」の修飾を受けない。比較してみる。
| 他在开玩笑。 | * 他在没关系。 |
| 他跟我开玩笑。 | 他跟这事没关系。 |
| 他在跟我开玩笑。 | * 他在跟这事没关系。 |
上述の例文中、動詞短語「没关系」は「在」の修飾を受けない。介名短語「跟这事」の修飾を受けた後、偏正式の動詞短語「跟这事没关系」を構成する。「在没关系」とは言わないため、「在跟这事没关系」とも言わない。
ただし、いくつかの制限がある。
A.賓語(目的語)が実際の数を指す数量詞(「一」以外)だけの修飾を受ける時、「在」の修飾は受けない。比較してみる。
B.賓語が別に描写的または制限的な定語(連体修飾語)の修飾を受ける時は「在」の修飾を受けることができる。
C.先に総括を、後に内訳を述べる文では、総括の部分の「在」による修飾は制限を受けない。
D.賓語が実際の数を指さない数量詞の修飾を受ける時、動詞の前に「在」を加えると、「在」は動作が進行中であることを強調する。動作が及ぶ賓語の数量を表わすわけではない。
「一」「两」は実数を指すことができる。例えば「今天的作业只有一/两道题」。虚数にも使える。例えば「你等我会儿,我跟他说一/两句话」。上の例文中の「一」「两」は実数ではなく、不定量を表わしているので、数量詞「一件、两件、几件」や「一些」などは、通常は軽く発音する。「一」「两」の意味は「几」「一些」「若干」と同じで、上の例文はいずれも「你在干什么?」という問いの回答に用いることができる。
E.準賓語(*注)を持つ述賓式短語は「在」の修飾を受けない。
F.存現賓語を持つ述賓式短語は「在」の修飾を受けない。なぜなら、存現賓語は存在、出現、消失する事物を表わし、存現賓語を持つ動詞に「着」を加えて動作によって起こった状態を表わすため、動作または行為の進行中を表わす時間副詞「在」の修飾は受けない。例えば、
なぜなら、「在」が動作や行為の進行または持続を表わすのに対し、補語の作用は動作の結果または状態を表わすことにあるからである。
比較してみる。
「在」が連動式の短語(フレーズ)を修飾できるか否かはやや複雑である。ここでは簡単な紹介にとどめる。
連動式短語は構造が複雑な短語の一種で、動作の実施者(行為者)が2つまたはそれ以上の動詞または動詞短語に関係しているものである。「在」を用いて修飾する場合、通常「在」は連動式短語中の1つ目の動詞または動詞短語の前に置く。動詞短語の制限条件は前で述べたのと同じで、動詞の制限条件も「動詞自体の性質と意味」の箇所と同じである。連動式短語はさまざまなものがあり、「在」の修飾を受けられるものもあれば、そうでないものもある。
A.いくつかの動作が相前後して発生する連動式短語は、「在」の修飾を受けない。例えば、
B.2つ目の動詞、動詞短語が1つ目の動詞、動詞短語の目的を表わすか、あるいは1つ目の動詞、動詞短語が2つ目の動詞、動詞短語の方法、道具を表わす連動式短語は、「在」の修飾を受けることができる。例えば、
(以上はV(p)2がVp1の目的)
(以上はVp1がV(p)2の方法)
(以上はVp1がV(p)2の道具)
C.1つ目の動詞または動詞短語が2つ目の動詞または動詞短語の活動の状態を表わす連動式短語は、「在」の修飾を受けない。例えば、
D.いくつかの動詞が同時に進行する連動式短語は「在」の修飾を受けない。例えば、
E.動詞に「了」「過」「起来」などを加えた連動式短語は「在」の修飾を受けない。例えば、
F.連動式短語には動詞1と動詞2が肯定と否定の2方向からある事柄を説明する類型がある。動詞2は否定の副詞「不」または「没(有)」を伴い、1つ前の動作の持続を表わすか、あるいは1つ前の動作を描写する。このような連動式短語は「在」の修飾を受けない。例えば、
G.動詞1と動詞2が同じ動詞である連動式短語は「在」の修飾を受けない。例えば、
この類の短語は通常、動詞1が賓語(目的語)を持ち、動詞2は動結式複合動詞か「得」+補語を伴っている。意味の上から見ると、動詞2は動詞1に対して補足説明の作用がある。これは4とも関係があるため、「在」の修飾を受けない。
おおよそ動詞または動詞短語が上述した使用条件に当てはまる兼語式短語は、いずれも「在」の修飾を受けることができる。例えば、
時間副詞の「在」「正」「正在」を動詞の前に用いる場合、いずれも動作の進行または状態の持続を表わす。例えば、
これらは通常は相互に置き換えが可能だが、いかなる状況でも任意に置き換えられるわけではない。これらの用法には区別がある。
1.「正」は主に動作の時間を指し、動作が発生し、進行している瞬間を強調する。「在」は主に動作が持続または進行中に置かれた状態を指し、「正在」は時間も状態も指す。例えば、
2.「正」が動詞の前にある場合、その動作の発生と進行の瞬間がもう1つの動作の発生と進行の瞬間とは別の時点にあることを表わす。副詞「正」の修飾を受けた動作はきわめて短く、動作には進行過程または持続過程がない。このような場合の「正」は「在」に置き換えることはできない。例えば、
3.「正」は一定の持続過程のある動作、または一定時間持続する動作を修飾することもできる。この場合の「正」は「在」に置き換え可能だが、「正」を用いる際は具体的な動作自体は1つの時間帯で、話し手がそれを1つの時点に抽象化する。「在」を用いる場合は、ある動作の持続状態を表わす。比較してみる。
以上の4つ文のうち、1つ目と3つ目は動作が進行し、状態が持続していることを表わしている。2つ目は、話し手が時間帯を時点に抽象化している。4つ目が誤りなのは、「正」は時間帯を表わすことに用いないからである。(訳者注:「時間帯を時点に抽象化する」という意味は、「开会」を例にすると、会議は本来一定の時間持続する状態であるが、それに「正」を使うことで「ちょうど会議中」というような意味になり、「時間帯」が「時点」に抽象化されるのである。2つ目の文は「ちょうど会議中だから、少し待ってよう」という意味。3つ目の文は「彼らが会議(持続)中だと、やることがない(状態)」という意味になり、4つ目のように「ちょうど会議中(時点)」と「やることがない(状態)」にすると両者は相容れず、成立しない)
4.「正」の後に動詞を単独で用いることはできない。「在」「正在」に制限はない。
5.「在」の後に介詞「從」を用いることはできない。「正」「正在」に制限はない。
6.「在」は「常常」「一直」「還」「経常」などの反復または長期間持続を表わす副詞、形容詞の修飾を受けることができる。「正」「正在」はこれらの修飾を受けることはできない。
7.介詞「在」で構成される介名短語(介詞と名詞を持つフレーズ)が状語(連用修飾語)または補語になる時、動詞は「正」の修飾だけを受け、「在」「正在」の修飾は受けない。
「在」は進行を表わし、動作が進行中か状態が持続中であることを表わす。「着」は進行の意味には用いず、動作の進行態と状態の持続態を表わす。比較してみてほしい。
「在」は動詞の前に用い、「着」は動詞の後に用いる。「在」と「着」の用法の違いは、以下のいくつかの点から具体的に区別することができる。
1.動作の進行だけを表わす場合には「在」を用いて「着」は用いない。
2.動作の進行態と状態の持続態だけを表わす場合は「着」を用いて「在」は用いない。
3.進行中の状況を問う場合、問いかけと返答にかかわらず、「在」だけを用いて「着」は用いない。
4.状態動詞に「在」は使えず、「着」を用いる。存現句の動詞はいずれも状態を表わすものであるため、存現句の動詞に「在」は使えず、「着」を使う。
5.姿勢を表わす動詞がある相対的に静止した状態を表現する場合、「着」を用いて「在」は用いない。「着」を用いれば「在」も用いることができる。
6.連動句のうち、動詞1が動詞2の状態を描写する場合、動詞1には「着」しか用いることができない。「在」は用いることができない。
7.2種類の活動が動詞に進行する連動式短語には「着」を用いて「在」は用いない。
8.動詞1が動詞2の道具を表わすか、動詞2が動詞1の目的を表わす連動句には「在」を用いて「着」は用いない。
9.「着」は命令文中に用いて、相手に引き続きあるそれまでの状況を保つよう要求することができる。「在」を用いてはできない。
10.「在」は反復または長期間持続する活動を表わすことができる。「着」を用いてはできない。